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自閉症について

指導員 藤田 紀子

はじめに
1.自閉症について
2.自閉症を理解するためには…
3.自閉症療育について
4.実践上必要な「自閉症」のとらえ方
5.考察

はじめに

 私は現在までにTEACCH療法・大田ステージ療法また、応用行動分析法といったものを学習してきた。これまで研究レポートにて学んできた自閉性障害についてまとめ、またCASのセミナーに参加した資料をもとに、自分の印象に残った話や文献を取り上げ、初心者が見ても分かりやすいレポートを作成したいと思う。これを通じ、私自身改めて自閉症の療育の困難さや、自閉症者の大変さを考える機会としたい。


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1.自閉症について

1.自閉症の発見と誤った見方

 自閉症は1943年、アメリカのKanner(カナー)により発見された。当初自閉症は、知的に高い、心を閉ざしている、親の性格や育て方が悪い・冷たいという考え方が定着していた。しかし現在では、脳の機能障害が強く推測される発達障害であり、行動的症候群とするのが妥当である。決して原因は親の養育態度によるものではないとされた。

2.自閉症の診断

 発見は3歳までが目安とされ、従来千人/4,5〜7人の確率であり、男子に圧倒的に多い。出現率は近年になるに従い上昇している報告がある。日本では世界的に高い率を示している。IQが70以上の正常または正常に近い自閉症者は23%である。残りの77%は知的に遅れを伴っている。
 自閉症は症候群とされ、自閉症の度合いや知的の度合いによって、その人がどこに分類されるのか正しく理解がされていない。高機能自閉症にも軽・中・重度に分かれるが、高機能自閉症だから何でも出来ると勘違いをされることが多いのが現状である。

3.自閉性障害の特徴

1 人と社会的な関係形成の困難さ

  • コミュニケーション全般の学習が苦手。
  • 相手の感情や立場を理解することが難しい。

2 話し言葉の理解とやり取りの困難さがある。

  • 音声言語の理解と表出の獲得に遅れと偏りがある。
  • 相手の言っていることの全体的意味をとることが難しい。

3 興味や関心の幅が狭く、こだわりが強い。

  • 視野や聞こえの幅が狭く、偏りがある。
  • ある行動や考えに強くこだわり、変化や変更が苦手である。

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2.自閉症を理解するためには…

自閉症支援をするためには、ます自閉症の特性を知ることが必要不可欠になる。

1.上記で挙げたものは自閉症の三大特性と世間一般では言われていますが

自閉症は症候群であり、「自閉症の典型」という人はいない。
そのためひとりひとりが違い、ひとりひとりの症状が違うのです。

だからひとりひとりに合わせた援助のプログラム(個別化)が必要とされている            

2.脳の器質的・機能障害なので「治せ、克服しろ、普通になれ」は無理な注文である。

→ 例えば足が不自由な人に歩けといっても無理なように、自閉症の人の脳の中に問題が起こっていて、物理的障害と同じようにできないことがある。しかし、脳の中で行っているので、周囲に分かりにくいのである。

3.自閉症の苦手なことは?

→ 抽象的な概念や思考を理解することが難しい。(=意味を考えることが苦手)

常識・法律・ルール・モラル・約束事・みんなで決めたことには「意味」があるのに、その「意味」が理解できにくいことにある。

4.コミュニケーションの障害

 → 言葉には具体的なもの(物の名前)と抽象的(具体的なもの以外)なものがある。私たちが使っている言葉は、ほとんどが抽象的なものばかりであり、自閉症の人には取り扱いが難しい。何も考えず日常生活の中で「あれ取って」「あそこ」などと無理な注文をしていることはないだろうか?コミュニケーションができないから、不安・ストレス・自己防衛をもたらし、怖いことはしない、わからないことはしない=新しいことは嫌い、変化を望まないのである。それが自閉症のこだわり行動や常同行動として現れている。

5.構造化とは

→ 「構造化」とは、苦手なものを補うというものであり、「構造化」とは決して自閉症だけの言葉ではない。視力が弱い人のめがねや白杖や車椅子、バリアフリーなども構造化と同じである。まずは、ひとりひとりの出来ること・得意なこと、出来ないこと・苦手なことを整理し、出来ることをつかって障害があっても普通に暮せる幅を広げることが重要である。


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3.自閉症療育について

1.TEACCH療法

 TEACCHとは「自閉症及び近縁のコミュニケーション障害児のための治療と教育」という意味を持つ。
 TEACH療法は、自閉症療育の中で注目を集めている療育の一つであり、主に自閉症者をとりまく環境を物理的に「構造化」し、苦手なことを補うものである。「いつ」「どこで」「何を」「どの様にするのか?」「そうしたら終わりか?」「終わったら何があるのか?」を分かりやすく掲示する。刺激を制御するには、見ないほうが良い物は見せない、聞こえない物は聞かせないように環境を変えるのである。
 自分らしく=自閉症でOK 

2、太田プログラム

 自閉症においては、その認知構造が不均衡であり、全体的な構造の把握は困難である。大田独自のstage分けによる発達段階評価は、自閉症の精神機能のレベルでの基本障害と考えられる表象能力に焦点を当てた評価法である。

1 認知発達治療の意義
  • 容易に表象能力の段階を知ることができる。
  • ねらいを決めたり、課題の選択をする時の指針となる。
  • 発達水準に合ったスモールステップは子供の内発的は動機づけを得られやすい。
  • 教材の意味付けがはっきりする。
  • 年長の同じステージの子を見ることによって長い先の将来像がわかる。
  • 障害・ステージと性別、年齢、問題行動を知ると、対象児者を取り巻く人々が共通理解に立ってケースの検討ができる。
  • ステージがわかると、家庭での接し方に対してもアドバイスし易くなる。

3.応用行動分析学

 行動分析学は学習に関する最新の科学です。ヒトや動物がどう学ぶのかを研究する学問です。応用行動分析学は、学習の基礎科学である行動分析学を、社会的に重要な問題の解決に活用する応用科学です。どう学ぶかが分かれば、どう教えるかも分かります。応用行動分析学は、障害児教育の他にも、普通教育、企業での教育、医療・介護、スポーツ、交通安全など、幅広い分野で研究と実践が行われ、その実践的な効果が認識されています。

問題行動への機能的アプローチ

環境を構造化することで問題行動が起きないように予防的に対応する。もし問題行動が長引くようであれば、機能的アプローチを適用する。

  1. 行動を記録する
  2. 行動の機能についての仮説を立てる。
  3. 適切な行動が安定して出現する環境につくりかえる。
  4. 問題行動と置き換わる適切な行動を教える。    →ポジティブ行動支援法

問題解決のための4つの原則

  1. 子どもと環境との相互作用という点からとらえる。→個人の適切な行動レパートリーを増やす
                               →環境を整備する
  2. 子どものよい行動に焦点をあて、それを増やす。そのことで結果として問題行動が減少する。(人間の行動には、一方が増えると、一方が減るという原理がある。)
  3. 長期的な支援のプランをつくる。
  4. 問題行動の「形」ではなく、「機能」を明らかにして、問題解決を立案する。

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4.実践上必要な「自閉症」のとらえ方

1.感覚に過敏な障害

  • 暑さ・寒さ・湿度・気圧の影響を敏感にうける。また触り方、声のかけ方に反応する。特に大きい高い声や禁止の声はなるべく避けたほうが良い。(マイナスの情動をひきだしやすい)
  • 本人の視野に入ってアプローチを行う。ゆっくりはっきりと話しかけるのが良い。
  • 私たちが意識していない行動障害の要因になっていることがある。例えば、激しい頭痛・歯痛・薬の副作用など、行動障害には必ず理由が存在するのである。

2.認知発達に偏りがある

  • 目で考える→視覚支援の大切さ。「言葉が通じていても視覚が優先する」ことを実践的に理解する。また複数の感覚を統合して使うことの困難さがあり、一度に複数の情報を提示しない配慮も必要である。

3.一般的なしつけの原則は通用しない

  • 困った行動は本人自身が「困っている」「辛い」「不安」の表現と考える。

4.自閉症の行動障害を悪化させる要因

  • 音声刺激(言葉の指示など)多すぎる、何を要求されているかわからない、予測がつかない状況が続く。指示の伝え方がその子に合わない。
  • 「ちゃんと」「きちんと」「ちょっと」「もっと」「そのへん」などは避けたほうが良い言葉で、具体的な動作を示したほうがよい。

5.してはいけない行為

  • 他動やパニックなどで混乱している場合に、言葉でどうにかしようとしたり、大声を出すこと。恐怖感を増やし、火に油状態になることが多い。

6.言い換えたほうが良い言葉

  • 「だめ」「〜してはいけない」→「〜しようね」「〜します」にする。
    (例)つばを吐く→つばを飲んでください、などに言い換えるほうが効果的。
  • 話しかけるときは相手との距離感が大切で、本人の視野に入ってアプローチする。また言葉ははっきり、ゆっくり話すのが良い。

7.保護者への禁句

  • 「わがまま」「勝手なことをする」「「集団に入れない」「わかっているのにやらない」「しつけが悪い」など、これを言ったら専門家としての信頼を失いかねない。

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5.考察

 レポートを作成し毎回感じることは、支援方法や実践の報告を聞くたびに、これなら実際に施設でも可能な支援であると思いながら、なかなか実践に移すことが出来ない。それはきっと私自身が自閉症者の生活の不便さを理解していない自分がいるからであるといわざるを得ない。自閉症について学べば学ぶほど、支援には奥が深く、ひとりひとりに合った支援がいかに大事かを改めて実感するとともに、支援の難しさを知る。ここまで自閉症について調べた知識を無駄にしないように、次回は実践を踏まえたレポートを作成できれば良いと思う。


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