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2015年度社会福祉法人光明会経営方針

(文責 CEO 内藤 晃 2015.3.15)

第3章 すべての法人職員の使命に対する保証~事業の品質保証

3-1 人間性を高める挑戦

3-1-1 職業人としての自立

(1)職業即天職観

 1-4項で紹介したように、森信三は「職業こそはわれわれ人間が、「生」をこの地上に享けた意義を実現するために不可避の道」「職業をもって、己が天賦の使命を発揮し実現せんがために、「天」より与えられたものと考える時、われわれは自己の職業のためには、あらゆる努力と研究を要することを、骨髄に徹して知りうる」という。
 自分の使命と組織の使命を共存させるのが「職業即天職観」である。働いている時、自分はそこにいる。そこにいると感じられないのは、他から認められていないからであるが、それは「仕事」をせずに「作業」をしているに過ぎないからである。他への関わりを必要としない「作業」状態をもって仕事と定義づけてはならない。一人ひとり法人職員の幸せは天職を全うする現在の職場の中にこそある。

(2)知識労働者

 また1-3項に示したとおり、社会貢献とは「尽くし与える活動」である。他に尽くし与え続けることは人としての使命であり「人たるゆえん」である。自分がこのような行動をするのは目的ではなく手段である。自分に投資する(自分が成長する)のは手段であるから、目的達成(他に尽くし与えた、社会に貢献した、未来に貢献したという成果)につながらなければ幸せ感は得られない。そして、他のために尽くし与え続けることを「感謝の心で恩に報いること」と認識している人を「徳がある人」というのである。徳とは、報恩のことであり、人が追求すべき高い人間性の中心にあるものである。そして徳がある生き方に挑戦する行動の習慣を身につけることが、周囲をよい人間に導くために不可欠である。ただ徳があることが短期的成果を保証するものではないから、それが事業の成果に貢献しないかに見えることがあろう。だからこそ事業遂行能力と徳とを重層的に求める組織においては、励まし合い、助け合う風土が大切になる。
 すべて法人職員は指示・命令に従属するマニュアル労働者ではなく、知識を武器として働く「知識労働者」(※15)になろう。知識とは、本やインターネットやマスメディアから得られる情報のことではない。知識とは「情報を仕事や成果に結びつける能力」である。この知識をお客様の価値に置き換えることが事業である。お客様の価値を知り、それを満たす成果のために行動する人(社会の一器官である組織に貢献できる人)が知識労働者である。

深化の
レベル
能力 意識 状態の説明
かけ算九九 あらゆる支援の場面
無し 無し 分からない 支援の必要性が分からない
無し 有り 6×6=36 ということは分かる 必要性に気づくものの、支援方法が分からないので他のスタッフの真似をしながら支援をする
有り 有り 「六六三十六」と暗記する過程 支援のトレーニングを積み重ねて習得する過程。行動を完全にはマスターできていない
有り 無し 無意識で「六六三十六」と言える 支援方法が行動の習慣となって苦もなくできる
何も参照することなく完璧にできる

 上の表に示すように「6×6=36」とは情報である。「六六三十六」と無意識に口をついて出るようになった状態を知識という。「知識労働者」とは支援の必要性に気づいているレベルをいうのではない。それは上表のレベル2に過ぎない。支援が無意識でできるようになるレベル4に達したとき初めて「知識を得た」と言えるのであり、法人職員はこの状態でなければならない。あらゆる支援の場面においてこの状態を目指そう。この状態にあること(すなわち行動の習慣が身についていること)を「組織の成果に貢献している」というのである。「成果」とはこの貢献をいうのであるから、レベル1からレベル3の状態に留まるうちは十分な「成果に貢献できていない」ことを自覚し、そこから脱する挑戦をしよう。

(※15 知識労働者……ピーター・ドラッカーは「断絶の時代」(1969)の中でマニュアルワーカーとナレッジワーカーという用語を初めて用いた。この項は、佐藤等『実践するドラッカー[思考編]』『実践するドラッカー[行動編]』ダイヤモンド社 を参照した)

(3)強みを活かす

 お客様から一人ひとりの法人職員の顔やそれぞれの「強み」や仕事にかける志や気概、すなわち職員の最高の力が見える施設・事業所経営を光明会は目指す。
 職員の力とは「自発的」「能動的」に仕事に取り組む力を意味する。しかし誰もが自分の「強み」を理解しているわけではない。そこで「ストレングス・ファインダー(※16)」を通じて個々の法人職員の強みを見出し、活かすこととする。一人ひとりが異なっている多様性こそが組織の強みの源泉であり、「ストレングス・ファインダー」によって多様性が明確になる。
 さて、人が人たるゆえんは、他に尽くし与え続けることにあると定義したが、どのように行動するかは、個々の「強み」がすべて他人とは異なるように、一人ひとりの法人職員が習慣化を目指す行動はすべて異なる。人間性を高める挑戦の具体的な内容はすべて自分で決めなければならない。
 したがって法人職員の貢献への評価は行動の内容ではなく自ら行動を選択・決定する姿勢に置かれる。互いに長所を認め合い、発見し続けてはじめて障害者の多様で幅の広い長所を見出し引き出すことができるのであるから、法人職員が助け合い励まし合う姿こそ、光明会の社風である。

(※16 ストレングス・ファインダー……マーカス・バッキンガム ドナルド・クリフトン『さあ、才能に目覚めよう』日本経済新聞出版社 で紹介されている人それぞれの強みを34の資質から分析する方法)

3-1-2 職業人としての行動規範

(1)権利擁護に関する行動規範~互いの瞳を見て唱和する

  1. 法人職員は、障害福祉の専門サービスの提供にあたり常にお客様の現在から将来にわたるすべての権利と義務とを擁護する使命に基づいて「緊張感」を持たなければならない。この緊張感は「仕事がある充実した人生」という言葉にある「充実」の中身の一つである。充実とは緊張感があることである。
  2. 法人職員は、常に職務のいたるところで虐待・ネグレクト(無視・放置)に陥る危険性があることを自覚し、言葉遣いや表情、行動など全般にわたり慎重かつ丁寧に職務に臨まなければならない。理由や状況を問わず虐待をしてはならない。障害者だからクレームの当事者になれるはずがない(ごまかせる、言いくるめられる)という障害者差別からの脱却のために、だれでも必要なトレーニングに常に努めなければならない。
  3. 法人職員は、「緊張感」を維持するために顧客応対のとき『3つの視線を意識する』ことを心がけよう。
     3つの視線を意識するとそれまでと同じ応対ができなくなるならば、障害者差別をしているのである。
     このように常に自省する心が不可欠である。
「お客様の家族の目」 「今、その声かけや応対をはじめとする支援はそのお客様のご家族の前でも全く同じにやれるだろうか」と意識しよう。ご家族の前でやれないことを、親の目の届かない本人に対してやっているならば、それは差別である。
「支援専門職としての仲間や後輩、上司の目」 「今、その声かけや応対をはじめとする支援は、支援の専門家として誇れるものであるか。また仲間や上司、特に福祉の仕事に夢を抱いている新人職員にとって参考になり、また手本になる支援であると胸を張れるだろうか」と意識しよう。
「自分の家族の目」 「今、その声かけや応対をはじめとする支援は、自分の家族の前でもできるだろうか。自分の配偶者や子どもに対してこれが自分の仕事だと誇れるだろうか」と意識しよう。
  1. 法人職員同士互いに注意し合う仲間意識が求められる。お客様に対する大声の指図やにらみつけ、一方的に決めつけた言動は明確な暴力・虐待だから、見て見ぬふりは許されない。見て見ぬふりはお客様に対するネグレクトの一形態である。つまり見過ごすことは虐待である。「障害者虐待防止法」は、施設職員等による障害者虐待の現場を目撃し、または虐待を受けたと思われる顧客を発見した時は速やかに市町村の「障害者虐待防止センター」への通報義務を定めている。この場合、所属長等上司に報告することなく、直ちに通報しなければならない。この通報は、虚偽、過失による場合を除き、守秘義務の適用除外とする。通報をしたことを理由として、解雇その他不利益な扱いはしない。  法人職員は、権利擁護に関する使命を常に果たせるよう笑顔ミーティングにおいて「倫理規定」を毎日唱和する。

「就職するなら明朗塾(アカデミー・明朗ワークス)の職員は、3つの目を意識しよう。
今の私の対応と、顔つきを見せられるだろうか?

  1. お客様の家族に。
  2. 支援専門職としての仲間や後輩、上司に。
  3. 私自身の家族に。

日本一の心優しいサービス精神で、最高の笑顔を届けるのが私たちの仕事です。」
(最後の一文を唱和するときに自分の最高の笑顔を作るよう意識し周囲の仲間と瞳を合わせること。無表情や疲れた顔を職場に持ち込むな。)

 お客様対応の原点として「優しさと気配り」と「緊張感」を持とう。自分にしてほしいことをサービスし、自分がしてほしくないと思うことは決してしてはならない。そして「顧客の家族」「支援専門職としての仲間や後輩、上司」「自分の家族」に胸を張って見せられるような礼儀正しい対応をしよう。
 また優しい行動を身につけるために「天国言葉」(※17)を唱和する。

愛してます   ついてる   うれしい   楽しい   感謝してます   しあわせ   ありがとう   ゆるします

(※17 斎藤一人さんの教えである、言っているあなたも聞いている人も幸せになってしまう言葉。天国言葉を1日10回、100日間言うと、天国言葉に慣れて日常生活に素敵な奇跡が起こり始める。)

(2)掃除と仕事は同じ

 松下幸之助は、掃除は仕事と同じと教えた。商人として場を浄める修行を極めた中から得た真理である。一流の仕事は緊張感のない漠然とした場や生き方の中からは生まれない。周囲の誰もが「もうこれで十分だ」という中でいかに不満足を感じられるか。そして妥協せず改良し続けるか。わずかな改良点を見逃さずに真摯に取り組むことが「人のために真剣に時間をかけて丹念に尽くすプロセス」である。これに気づく力は、立ち居振る舞いを磨き、一心に掃除をする中で育つ。「美しい」とはこういうことだと共有するために師匠は弟子に仕事のやり方(マニュアル)ではなく立ち居振る舞いを見せるのである。これを弟子の方から見れば、師匠の背を見て学ぶ(子は親の背を見て育つ)ことになる。
 掃除を疎かにすることは、細かなことに不満足を感じる目(わずかな改良点に気づく目)を失うことである。服装のわずかな乱れや汚れに気づかない人は、人の痛みに気づけないし、人によくしてあげたいという思いが生まれない。だから身を清め、生き方を整えるのである。
 「いやだな、辛いなと思ってもやらなければならないことがある。そのいわば『修行』を捨ててしまうのは、自ら『宝』を捨てることである」(松下幸之助)

(3)5Sの徹底と陰徳

 5Sの徹底は経営者・管理者の使命である。率先垂範する。5Sの定義は次のとおりである。

S 定    義
整理 必要な物と不要な物を分け、不要な物を捨てること
整頓 必要な物がすぐに取り出せるように置き場所、置き方を決め、表示を確実に行う。
清掃 掃除をしてゴミ、汚れのないきれいな状態にすると同時に細部まで点検すること
清潔 整理・整頓・清掃を徹底して実行し、汚れのないきれいな状態を維持すること
決められたことを、決められたとおりに実行できるよう習慣づけること

http://homepage2.nifty.com/b-mgt/5s.htmlより引用)

 よい人間性への挑戦は「陰徳を積む」必要がある。陰徳とは、人に知られないようにひそかにする善行のことである。人に知られなくとも自分は知っていることだから、自分で自分の美意識を高めなくてはならない。「自分たるもの、このようなみっともないことはしない」「義を見て為ざるは勇無きなり(人として行うべき正義と知りながらそれをしないことは、勇気が無いのと同じことである 論語)」と心に唱えながら自らの誇りに賭けて行動をしよう。行動した後の爽やかな気持ちは何事にも代えがたい。

3-1-3 職業人としての行動基準

(1)職務遂行上の行動基準5則

  1. 法人職員は、すべての職務の中で、就職支援が進まない理由をお客様のせいにしたり、障害者を雇用しない企業のせいにしたり、他の職員のせいにしたりすることなく、自らの責任と認識し、一歩でも就職に近づいたことを実感できる行動をしなければならない。
  2. 法人職員は、一人ひとりが知識労働者として、サービス提供の各場面で、果たすべき役割に応じ、考慮すべき範囲(気配りをする範囲)を変えて行動しなければならない。障害福祉の制度そのもののあり方を考えるレベルから、法人としての経営理念のあり方、障害福祉サービスのあり方、チーム支援のあり方など、よりよい福祉社会の実現に向けて思考の視点レベルを変えて行動しよう。このことを通じてあれかこれかの二者択一という狭小な選択を超越したバランスのとれた第3の道を発見できるのである。
  3. 法人職員は、無から有を生み出すことへの挑戦を使命としなければならない。障害福祉サービスの現場では常によりよいサービスを創造し続けるフロンティア精神が必要である。未来に向けて、種を蒔き続ける情熱で無から有を生み出そう。何もせずに無から有を生み出せるような便利な道具はない。今この時に、種を蒔かなければどのような目標であっても達成されない。
    }(自分が蒔いた種は自分で刈り取る/自分が蒔いた種しか刈り取れない)
  4. 法人職員は、日本一を目指し続けなければならない。目指す山は高くなければならない。まずは日本一の人を見つけ、それを徹底的に研究し、模倣し、いつかはそれを超えるために不断の工夫と努力を積み重ねよう。
  5. 対人サービスは、やり直しや取り消しがきかない真剣勝負である。常に一回きりのサービス提供であるからこそそこには「美しさ」が求められる。「今日が人生最後の日であったとしてもあなたは今の支援(今の仕事ぶり)で満足できるか」

(2)忍耐心

 イエローハット創業者で、日本を美しくする会相談役の鍵山秀三郎氏は「リーダーに最も必要なのは、忍耐心です。忍耐心を培うには、肉体を鍛えるのと同じで、時間を要します。自分にとって不都合なこと、面倒くさいこと、手間のかかることを、一つずつ丹念にやっていく。そうすることで、忍耐心は着実に培われていくのです。本来、肝要なことを行うのは、手間がかかって面倒なのです。ですから、面倒を理由に行動を起こさない人は、大事なことをしていない人だと言えます」と述べている。(中田宏、鍵山秀三郎『結果を出すリーダーしか知らない20の方法』P14 遊タイム出版)
 また感情は言葉に引きずられるから「そう思うからそう言う」という癖をつけてしまっては、自分の吐く言葉で自分の行動が鈍る。そこで「泣き言・愚痴は人より後に言う」を旨に忍耐力を育むことが肝要である。(平光雄『子どもたちが身を乗り出して聞く道徳の話』pp121-122 致知出版社)
 手業(手間をかけること)を大切なことと受け容れて、弱音を人より先に口にせず行動する忍耐心は行動基準の一つである。

(3)即行動の習慣と「技術者として身につけるべき三魂」

 S・Yワークスの佐藤芳直氏は「即行動(タイミングを計らないことが「損得より善悪」の主旨である)を提唱し、動機がプロセスの精度を高める」と言う。「仕事の動機とは、自ら困難を選び自らを成長させることであるが、動機は仕事の成果から評価することはできない」とも言う。
 人間性を高める挑戦の具体的な内容はすべて自分で決めることになるが、決めるにあたっては、自らが最高のサービスを受けて感動する体験を積み重ねることが必要である。自分が感動した体験があるからから、同様の感動を提供したいという想いが生まれるからである。これは東京ディズニーリゾートの最高のサービスを生み出す優れた手法として多く紹介されている。
 また人間の無意識領域(潜在意識)にどのような情報を届けるかによって人間の行動は決まる。無意識領域に届ける情報を自分でコントロールし、正しい課題設定をするために必要なアクションプランを引き出そう。そのために法人職員は仕事中に不満を口にしないこと。不満(マイナス情報)を他人の耳に入れてはならない。同時にマイナス情報を他人から強制的に耳に入れられないようにしよう。仕事の不平不満(具体的には他人批判という形で現れる)を発言する仲間に対しては「何か手伝えることはありますか」と手を差し伸べよう。そして感謝の言葉を忘れずに相手に伝えよう。
 感動体験を求めること、自分にとって必要な情報を選ぶことで即行動の習慣化に弾みがつく。

 また佐藤氏の示す「技術者として身につけるべき三魂」は、行動基準の一つである。

  1. 他人より困難な道を進んで選ぶ。周囲と同じことをしていては同じレベルの成果しか望めない。努力の出し惜しみはやめよう。
     これは、鍵山氏のいう「忍耐心」と通ずる。現場で採りうる支援に複数の道があったときに、進んで困難な道を選ぼう。楽をしたい、損をしたくない、得をしたいという思いや行動は人間として美しくない。
     「人間各々の価値は、その人が熱心に追い求める対象の価値に等しい」(M.アウレリウス)
  2. 卑怯な振る舞いをしてはならない。
     成否を問わず善を為す気概が求められる。会津藩の什の掟にある「卑怯な振る舞いをするな」の「卑怯」とは、義(人として当然なすべきこと)を見て行動をすぐにしないことをいう。すぐにするとはその行動の成否(うまくいくかどうか、評価されるかどうか)を計らないことである。損得ではなく善悪で瞬時に判断して即行動する覚悟を決めよう。他人への思いやりがなければ正しい判断や行動はできない。ドラッカーは「プロフェッショナルにとっての最大の責任は「知りながら害をなすな」であり、マネジメントの人間は、自らの組織と社会の共通の善の双方のために働くべき存在としてその行動の基準たる倫理においては、公的な存在でなければならない」という。(「マネジメント 上」 pp.430-437)
  3. 他人を待たず他人のせいにせず、自ら進んで行動する。
     他者の行動を待つことなく自らの責任のもとに行動をする自発が求められる。「誰もやらないからこそ自分がやる」という意志が0から1を生み出すものである。
     自分の思いや願いが他人のそれよりも優先するとは思わないこと。自分を被害者とは考えずにむしろ加害者ではないかと常に自戒しよう。ゴミが落ちていたらそれに最初に気づけた自分が拾うこと。誰の役割かを考えるのではなく、誰がしていなくても自分がすること。それは他人のためにではなく自分のためなのである。「誰かのためにしてあげている」という意識は美しくない。自分がやるべきことであると思い込めること、させていただけることに感謝できることが「徳性」なのである。

 これら三魂の資質『楽をするな 先送りするな 他人(ひと)任せにするな』が人間としての美しい生き方の要素であるから行動基準とする。これらの資質を備えた法人職員がサービスを提供するならば、そのサービスは質的に保証できる。

(4)寸陰を惜しむ(※18、※19、※20)(忙しいことを言い訳にしない)

 職業人としての行動において、その行動をとりにくくするかのような事象が多く発生するものである。 しかしそれはその行動を成功に導くための支援が形を変えて我々の目の前に現れたと考えよう。困難こそ成功への必要条件である。職務に真摯に取り組めば取り組むほど、そして手業(手間をかけること)を求めれば求めるほど時間がなくなる。人に与えられた時間は誰しも同じである。であるからこそ、わずかな時間を大切にすることが必要になる。まとまった時間が与えられることを待ってはならないし、忙しいことを言い訳にしてはならない。

(※18「古人寸陰を惜しむ」陶淵明365-427雑詩其五 若いときは夢や理想を持っていたが、歳月を重ねるにつれて夢や理想が失われ、体力も気力も衰えて老いていく。昔の人は寸陰を惜しんで夢や理想を実現させたのに。 (Wikipediaより引用))

(※19「学道の人、寸陰を惜しむべし」道元禅師1200-1253正法眼蔵随聞記 「人の一生は露のごとく消え易い。日時は速やかに過ぎ去る。ひと時も無駄にせずに志の実現に意を注ぐべきである。余分なことと関わりを持つべきでない。ただひたすらに学道の道を志すべきである。この頃の人は、父母の恩愛を捨てられない。主君の命に背けない。妻子や家族と離れられない。家族の生計が心配である。世間の人から非難される。貧しくて出家のための道具が準備できない。更に自分は非器(能力不足)で学問修行に耐えられないという。いろいろな言い訳をして学道の志を実現しない。世間並みの金と色の貪りに埋もれ、一生を台なしにし、棺桶に入る直前になって後悔する」 (Wikipediaより引用))

(※20「寸陰を惜しんでやっておると、その寸陰が、長い時間と同じ、あるいはそれ以上の値打ちを生じてくる。」「精神を集中し、寸陰を積んでこれを錬磨すると、非常な感覚力を生ずるものです。」(安岡正篤「青年の大成」p128致知出版社))

(5)SCSEとめいろうルック

業務遂行上の優先順位の決め方の行動基準は「SCSE」(※21)である。

優先順位 光明会としての定義と説明
 安全性
[SAFETY]
常にお客様の安全性の保証が最優先である。安全を守るのはその場にいる法人職員の判断と行動である。この目的のためには、職制や職務指示系統を超えなくてはならない。お客様の安全を守る姿勢が法人職員の安全をも守る。安全な場所に安らぎが生まれる。
 礼儀正しさ
[COURTESY]
礼儀正しく丁寧であることは、おもてなしの基本である。各事業所を利用されるお客様の身になってサービスを提供すること。相手にとって安心と親しみを感じるホスピタリティマインドが必要であり、それはあたかも自分の部屋に親友を初めて招くときのような心配り、気配りをすることである。温かいコミュニケーションは複数の手段(電話や手紙、訪問など)を積み上げることで作り上げられる。
 ショー
[SHOW]
お客様の人生をショーと見立てるならば、キャストである法人職員の使命はお客様に気を配り心を込めて尽くすこと(裏方に徹すること)である。期待を込めて光明会を利用するお客様の光輝く人生を支えるために、身だしなみや立ち居振る舞い、施設清掃などに毎日真剣(一期一会の心)でなければならない。人生の舞台の中央にいる主役はお客様である。
 効率
[EFFICIENCY]
支援業務の効率化が法人運営の効率化や収益性の向上につながると思い込みやすい。しかしお客様の安全を心がけ、礼儀正しく、真剣な気配りを提供していくことを優先すべきであり、結果として私たちの信念に基づくサービス(仕事道サービス)の効率を最も高まる。法人経営や職員の都合をお客様の幸せに優先させてはならない。

 唱和する倫理規定にあるとおり「最高の笑顔を届けるのが私たちの仕事」であるから、他人に好感を与える笑顔づくりと身だしなみとマナーを確実に獲得できるよう取り組む。身だしなみについては『ディズニールック』(東京ディズニーリゾートですべてのキャストに求められている身だしなみのルール)にならい「めいろうルック」を規定する。

(※21 「ディズニーテーマパークには、「SCSE」という行動規準があります。Safety(安全)、Courtesy(礼儀正しさ)、Show(ショー)、Efficiency(効率)の頭文字をとったもので、全キャストにとって、ゲストに最高のおもてなしを提供するための判断や行動のよりどころとなっています。「SCSE」は、その並びがそのまま優先順位を表しています。ディズニー社のライセンシーである当社にとっても、ディズニーテーマパークの重要な行動規準である「SCSE」は、東京ディズニーランド、東京ディズニーシーを運営するにあたって最も大切にしている基準です。」株式会社オリエンタルランドのホームページより引用)

(6)無財七施

 行動の習慣化のためには、自己投資の資金が不可欠というわけではない。「無財七施(むざいしちせ)」の教えは、お金がない人でもできることがあること、お金がないことを言い訳にしないことの大切さに気づかせてくれる。人間は、生きているだけで財産があるという仏教の教えである。無財七施のような「思いやり」を人に与えることは、自分の人間性を高めることになる。

1眼 施 がんせ 慈しみに満ちた優しいまなざしで接し、 目線で思いやりを伝えること。
2和顔施 わげんせ いつもなごやかで穏やかな顔つきで、優しい笑顔で人に接すること。
3愛語施 あいごせ 心からの優しく思いやりのある言葉を口にすること。
4身 施 しんせ 自分の身体を使って、他の人のためになる行動を進んで行うこと。
5心 施 しんせ 思いやりのある心を持ち、相手の喜びや、悲しみや痛みを共有すること。
「ありがとう」「すみません」など感謝の言葉を口にすること。
6牀座施 しょうざせ 自分が疲れていても、他人に場所や席を譲ること。
7房舎施 ぼうしゃせ 訪ねてくる人を家に入れてもてなし労をねぎらうこと。
自分が濡れても、相手に傘を差す思いやりのこと。

3-2 顧客焦点

3-2-1 顧客を担当する責任と権限

 1-3項のアダム・スミスの言葉にあるように、お客様の幸せを喜べることが幸せの本質である。お客様をとことん喜ばせ楽しませるには手業が必須である。とことん誰かのことを考えることが人間性と人徳を高める。縁あって自分が担当させていただくお客様を幸せにする道を自分でデザインする権限が法人職員にはある。
 このように行動し続ける美しい生き方(働き方)をお客様がリスペクト(尊敬)するのである。そのためにお客様がまさに仕事をしている時(point of working, POW)のお客様の姿に着目し、タイミングを逃さずにお客様にメッセージを発しよう。メッセージカード・手紙を書こう。このときこそ手業を発揮するときである。

3-2-2 公文式学習とおもてなしの本質

 公文式学習において「ちょうど」の概念は非常に重要である。「ちょうど」とは、限界を求めていくことであるが、十分理解されにくいコンセプトである。「無理なく標準完成時間内で100点とれる教材がちょうどの教材である」という間違いが多い。そうではなく、学習者の限界の上昇可能性を信じて求めることである。「ちょうど」は常に変化する。「ちょうど」こそ自分の限界を超える条件なのである。公文式学習において「ちょうど」を考えずに漫然と教材を手渡すことは、本人の成長の可能性を踏みにじる許されざる行為である。「ちょうど」は学習者に対する評価と共に学習指導者に対しても当てはまる。学習指導者が自らの限界に挑戦しているかが問われるのである。
 「ちょうど」の概念を活用して学年を超える学習を推奨した公文公は、晩年インタビューに答えて「1%の経営心と99%の親切心でやってきました」と言った。「ちょうど」という相手の成長をどこまでも信じる姿勢こそ公文式学習が示すおもてなしの本質である。

3-2-3 「褒める」ということ

 褒める、育てるとは、相手に誇りを持たせることである。褒め方や育て方が良き方向に向かっているかどうかは、誇りと自信に満ちた行動が表出しているかで判断しなければならない。
 船井総合研究所の創設者船井幸雄氏は「部下の欠点なんて見えなくなるもの」「部下の長所が見えないうちは叱ってはならない」と語ったという。相手の欠点が見えているうちは先生ではない。実際、相手の長所に目を奪われ感嘆するその瞬間は、欠点が見えなくなっている。船井氏のいう「長所伸展法」とは、この状態の長所を言うのであろう。
 また、佐藤芳直氏は「長所と短所とは裏表の関係ではない」という。欠点の反対側(裏側)に長所があるわけではない。相手の短所に目を向けていながら、言葉だけポジティブに言い換えた(たとえばぐずぐずしているのを「慎重な性格だ」と)ところで、それは長所ではない(少なくとも長所だと得心していない)から、それを持ち出しても相手は褒められたと感じない。これでは相手に誇りと自信を持たせることはできない。
 また「小さなことを見つけて褒める」という考え方もあまりよくない。「小さなこと」くらいしか長所がないということは、裏を返せば欠点がたくさんあると認識していることになるからである。あくまで「卓越していることを褒める」ことが大切なのである。

3-3 美しい生き方

3-3-1 礼儀正しさと優しさ、後工程への心配り

 自分の心に原始的に発生する「人としての優しさ」が自発的・能動的サービスの原点である。しかしながらその自分の思いに自ら背いてしまうことで人は現状の自分を肯定し、他者を批判するようになる。自分の原初の思いに正直に、その思いにしたがって行動する勇気を大切にしよう。(※22)
 相手をモノとしてではなく人として見る姿勢を常に持とう。モノは「便利なモノ、邪魔なモノ、無関心・無関係なモノ」の3つである。モノとして見れば、相手はモノとして見られていることを瞬時に察する。そして表面上の言葉や表情に関わらず「優しさ」を感じない。むしろ不安、不信、不満を感じる。
 だから相手をびっくりするほど喜ばせる行動をしよう。

 仕事をするときは、職場の仲間、電話を掛けてきたお客様など、自分以外の人たちができるだけ楽にできるように心掛けよう。後工程(あとこうてい)への配慮が大切である。
 「後工程はお客様」。本来の意味は、「自分たちの仕事の後工程を確認し、最終のお客様にどのような影響をおよぼしているかを配慮して後工程の満足度を高めていくこと」だが「同じ組織の中でも、自分の仕事の続きを担当する人をお客様と思って対応しよう」という解釈もある。自分が遂行している仕事の後工程は誰かを考えないことを「後始末ができない」という。また「不始末」ともいう。
 常に自分以外の人がもっと楽になるように、と気配りをすれば「玄関では(自分の靴は当然のことだが)他人の靴を揃える」「どの駐車場でも一番遠くに停める」「電車やバスでは座らない」「道は譲る」などという大人としての美しい行動がとれる。仕事ならば「次にする人が自分より早く楽にできるように整えておく」「自分と同じ苦労はしなくてもよいようにする」「自分を踏み台にしてもっと高くジャンプしてもらう」という行動がとれる。これが自分以外の人をモノとしてではなく人として見る行動である。と同時にそれが礼儀正しさでもある。礼儀正しさと優しさ、後工程への心配りは人との縁を大切にし、永続させるために不可欠なものである。

(※22 アービンジャー・インスティチュート著『自分の小さな「箱」から脱出する方法』大和書房2006 『2日で人生が変わる「箱」の法則』祥伝社2007 『日常の小さなイライラから解放される「箱」の法則』PHP研究所2014)

3-3-2 人間性の向上こそが優れた技術を生む

 弟子が師匠から学ぶのは立ち居振る舞いである。仕事では人のために真剣に時間をかけて丹念に尽くしたかのプロセスが見える結果をつくらなければならない。結果のレベルを高めるに「些事に気づくほどの徹底した気配りをする目」を養わなければならない。そのために立ち居振る舞いを正すのである。そのための修練となる「道」は日本伝統の文化の中にこそある。
 人間性の高い立ち居振る舞いを見せること(あるいはそこから学ぶこと)でしか周囲の人に影響を及ぼし人間性を高めることはできない。人間性の向上が優れた技術を生むのである。
 人間性とは、また心の鏡のことである。「人間は誰でも心の中に輝く鏡を持っている。鏡が輝いていれば、世の中の出来事や人間の心がそのまま歪まずに映る。人間が邪心や欲望などを持って鏡を曇らせれば、鏡の中に人の心や社会の状況が決して正しくは映らない。人間は自分の心の鏡を始終磨くことが大切だ。毎日生きている中でいろいろなことに遭遇したときこれを受けとめる自分の心は輝いているだろうかと振り返り、曇っていれば汚れを拭い去って、心の鏡を光らせて対応していくよう努力する。」(童門冬二「内村鑑三「代表的日本人」を読む」PHP文庫より)

3-3-3 美しいライフスタイル

 自分の未来に恋い焦がれる人とのつながりを育もう。法人職員のライフスタイルの美しさが求められる。それはたとえ職務上のライセンスは一緒でもライフスタイルが異なれば美しさが異なるということである。たとえば学校の先生は誰でも教員免許という同じライセンスは持っている。しかしその人となりは皆異なる。車を運転する人も自動車運転免許は誰もが持っている。しかし運転マナーは皆異なる。
 社会福祉法人の職員は必ずしもライセンスを必要としない職種もあるが、それでもライフスタイルが職務の質を決めるのであるから、ライセンス取得は大切ではあるが、同時に身につけるべきライフスタイルを考えよう。このライフスタイル(自分の生き様)を後世に伝えていく準備として、光明会の良いところを語り合うプロセスを大事にしよう。

3-4 組織に貢献すべきこと~コア・コンピテンシーとの連関

3-4-1 最高の仕事ができる環境~3つの質問

 世界最大級のアルミメーカーアルコア社のオニール元会長は、ドラッカー直伝の会社評価法を実践し、労災ゼロを目指す中で高い業績を上げた。その会社評価法は次の3つの質問に社員のどれだけがためらいもなしに「イエス」と答えられるかというものである。
 「あなたは敬意をもって遇されているか?」
 「あなたは貢献する上で必要な教育訓練と支援を受けているか?」
 「あなたが貢献していることを会社は知っているか?」

(エリザベス・イーダスハイム『P・F・ドラッカー 理想企業を求めて』(原題:THE DEFINITIVE DRUCKER)ダイヤモンド社 pp139-141)

 お客様に対しても同様である。お客様に対して3つの質問をした結果、お客様が敬われ、教育訓練と支援を受け、貢献していることを知られているとためらいもなしに「イエス」と答えたならばよい施設・事業所と判断できる。
 ドラッカーは「事業を成功させるには、最高の仕事ができる環境をつくらなければならない」という。 最高の仕事ができる環境とは次の3点である。

  1. 経営者が3つの意識を持っていること、すなわち上記の3つの質問に「イエス」をもらえること
  2. すごいエネルギーのある仲間がいること
  3. 自らの使命と組織の使命が共存していること

 そのうえで法人職員は、自ら「何をもって貢献すべきか」の問いに答えなければならない。「もし、いま福祉現場に入職していなかったとして、福祉現場に入職しているか。入職していないとするならば、いまそのことについて何を行うべきか」と。(前掲書 p221)

3-4-2 教えること

 現場での経験を積み重ねれば、その仕事を他人に習得させる指導方法が自然に身につくわけではない。教えることは業務経験とは別に修得しなければならない。他法人との職員交換研修は指導方法の修得を目的とする。
 指導とは「今までの体験や、知っていることを伝えるのではなく、自分たちが日々突きつけられていることに挑むそのプロセスを提示すること」「放っておいても育つが、ほったらかしにするのではなく、半分見て気にして気にかけていて、半分試行錯誤に任せる」「問い方のマジック(ワナ)が存在する。どちらかと聞くと、思わずどちらが正しいか考えてしまう。やり方に頼りすぎず背後にある考え方や自分のあり方について深めていかなければならない」「やり方を絶対視するのではなく「なんか違う気がするな」という小さな違和感を見つけたら、そこからの行動がとてつもなく重要だから、丁寧に掘り下げ取り組んでいく」「『すべての体験が教育的であるとは限らない』(ジョン・デューイ アメリカの教育哲学者)から、人はあらゆる体験から学ぶものであるが、教育的な体験の目的と目標を相手の状態に合わせて作るのが指導者の役割」である。(※23)
 人が成長するということは、自分の考えを変えることである。自分の考えとは、①ものの見方、②評価する考え方、③それに対する行動であるから、自分のあり方のことである。自分の考え方を変えるためには、組織内においては、職員間の壁を下げていくことであり、そのことによって人の話に耳を傾け、自分の考えを変えていくことができるのである。

(※23岩瀬直樹 寺中祥吾「せんせいのつくり方」2014.10 旬報社 プロジェクトアドベンチャージャパン「グループのちからを生かす」2013 みくに出版)

3-4-3 技術・技能と態度(職員研修とキャリアパス)

 法人職員の技術・能力と態度は分けて評価することで成長を求める。人財募集から入社後3カ月までの間の職員を対象とする「KMGプログラム」の開発は継続しつつ、知識としての技術・能力については、検定制度を創設する。必要な技能を必ず修得するためにOJTのステップ化をはかり、1週間・1か月・3か月・修了検定と卒業検定を含める。自己評価とトレーナー評価の乖離をなくすことが検定の意義である。
 一方、法人職員としてのあり方としての態度については、獲得すべき態度のレベルを明確にして定期的評価を実施する。たとえば、笑顔や身だしなみは態度である。
 法人職員のキャリアアップのための研修やキャリアパスについてはキャリアパス企画推進室が所管し、整備していく。

3-4-4 研究レポートと資格取得支援

 すべての法人職員に、年2回の研究レポートへの取り組みを奨励する。最高の仕事を求める姿勢(研究レポートはその一つの方法である)が法人職員には求められる。優秀な研究レポートの成果は「明朗研究研修会」等において全職員で共有する。
 またさまざまな外部研修(職員交換研修や視察研修を含む)や内部研修を受講する機会が与えられる。なお、外部研修が修了したときは研修先・視察先に研修により得られたことを明確にした礼状を差し出すことを必須とする。(キャリアパス企画推進室が所管する)
 学びは自発的になされるべきであり、仕事もまた自発的・能動的な取り組み(行動)によって、法人職員に必要な力量(深化のレベル4)(本章冒頭部)が修得されるのである。
 支援のあり方を人としての根源的な愛情を基に理解し、その実践によって得られた知見に基づく試行錯誤が欠如すると、不十分・不適切なお客様対応を引き起こし、その結果、権利侵害を生む。日常的な学びの姿勢と、仲間の学びを尊敬し賞賛する姿勢が法人職員のあるべき姿である。
 アウトプットは、インプットの量に比例するので、法人職員による情報発信(アウトプット)を求めるからには、情報インプットの機会(書籍購入費の補助、推奨資格の取得費用の一部補助、資格取得休暇)を保証する。
 またすべての職員を対象として組織の成長に向けた変革をもたらす「日帰り合宿」を平成27年6月に実施する。
 読書と実践は車の両輪である。1日の8hは実践、16hは思考の時間である。読書は見たいテレビを消し、飲みたい酒を飲まず、友や家族との語らいの時間を削り、読みたい本に替えて読まなければならない本を手に取り、眠い目をこすりながらするものである。いわば自分の命の時間を本の著者の命と置き換えるものでもある。この体験を通じて学ぶ悦びもまた私たちのお客様にぜひ伝えよう。
 1-3項で触れたとおり、資格取得は手段である。目的を見失ってはならない。光明会は、資格取得を目的とする職員を支援するのではない。人としての使命を果たすことに挑戦する意志と継続する姿勢を評価し支援するものである。
 資格取得に限らず、研修参加、読書に自分の命(時間と財産)を捧げる職員を評価する。

3-4-5 目標の可視化 自分の教科書の活用

 私たちの目の前にいるお客様を幸せにするために法人職員自らが幸せにならなければならない。生活のみならず思考や発想までもが貧困では、とうていお客様に幸せを届けられない。何をやり抜きたいのか、何を極めたいのか、このような自問自答を通じて一人ひとりが自らの使命を明確に認識しなければならない。組織の使命である社会貢献と自らの使命との共存を見極めることが大切である。
 人は周りの人に尽くし豊かにしてあげたいと真摯に生きる結果、自分も豊かになれる。したがってもし法人職員が幸せでないとすればそれは社会に貢献できていないからであり、光明会もまたその使命を果たしていないことになる。
 自分の使命を見つけ、今年度の目標を設定したら、文字など目に見える形で常に無意識領域に届けよう。目標は紙に書くことによって達成される。文字を書くことは人間だけが持つ能力であるからその強みを活かそう。
 毎年12月に実施する「目標設定ワーク」の実践を基にすべての法人職員は「自分の教科書」を作成し、1年間の自己キャリアアップ計画を立案しその達成に取り組むものとする。「自分の教科書」にはお客様からいただいたエネルギーや自分の納得できた実践なども書き込もう。「自分の教科書」とともにあなただけのオリジナルの人生を歩もう。

3-4-6 心豊かな暮らし

 平成27年3月にキックオフし、毎月1時間実施する「光明木鶏会」(人間学誌「月刊致知」の記事を元に感じたことや行動の決意などを述べ合い、互いの美点凝視を通じて心豊かな人間関係を愉しむ会)は、心豊かな暮らしを法人職員が享受することを期待して行うものである。月刊致知の読者は全国で10万人を超え、社内木鶏会も全国で1千社を超えている。
 歴史学者のトインビーは「12~13歳までに民族の神話を学ばなかった民族は必ず滅びる」という言葉を残し、自国の神話・歴史を学ぶ大切さを教えてくれる。このことから導かれることは、民族の永続には「理想を失わないこと」「すべてを物の価値に置き換えて判断しないこと」「自国の歴史を失わないこと」の3つが不可欠であるということである。「月刊致知」はこの3つの人間学に関する得がたい貴重な情報が満載である。資源がなくても工夫で世界に冠たる日本を目指した先人、そして現代に生きる人々に感謝して生きるために「光明木鶏会」を大切な1時間としよう。

むすびに

 社会福祉法人の存在価値は、地域の人づくりにある。法人の人材確保に留まるものではない。人づくり(人財教育)は、自組織のためではなく地域のためである。光明会はこの立場で法人経営をする。
 人間が、天命を受け、それを全うする唯一の条件は「徳」であり、徳が人間の最高の品性である。本来芸術的才能や技術的才能と人間的品性とは全く別のものである。芸術的才能や技術的才能によって事業の成果を得ることは、品性の高い人間を育てゆく条件なのである。
 徳を身につける道が修行である。現代社会においては、それが「仕事」である。光明会が人を採用し人を育てるのは徳性を身につけた人間を世の中に広げるためである。
 人は、ときとして悩み苦しみ、生活に困窮することがある。しかし全ての苦しみが成長の糧であるならば、憂うるべきは困窮ではなく、徳を持って天命を果たしていないことにある。世のため人のために幸せを届けていないことである。
 他人を幸せにして生きることこそ幸せの本質である。他人の幸せを純粋に、素直に喜べる品性を身につけて日々を送れることが「絆」である。そのために考え、考え、そして考える力を身につけて、進んで喜んで行動する人生をともに歩もう。
 すべての法人職員が人生のいっときを光明会にかけて自らの使命を果たしていることに感謝する。

(文責 CEO 内藤 晃 2015.4.30)