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2013年度社会福祉法人光明会経営方針

第3章 すべての職員の使命に対する保証

 1-3項において示したとおり『社会貢献活動とは「与える活動」である。他のお人に与え続けることは人としての使命であり「人たるゆえん」である。自分がこのような行動を取るためには「自分の成長に投資すること」「自分が成長すること」が必要であるが、これは目的ではなく手段である。自分に投資する(自分が成長する)のは手段であるから、目的達成(他のお人に与えた、社会に貢献した、未来に貢献したという成果)につながらなければ幸せ感は得られない。
 自分が幸せ・豊かになることは、他のお人を幸せ・豊かにするために不可欠なことである。「人生に仕事がある喜び」「仕事のある充実した人生」もまた、それを他のお人と共有しなければ実現しない。仕事がある喜びを共有するという実感はどのようなものか、それが感じられ気づける場を提供できているか、さらには自ら作り出せる力を育てようとしているか、が問われるのである。
 自分自身が成長して「よい人間」になることは、他のお人をよい人間に導くために不可欠であり、よい人間とは、与えること、与えることに挑戦する行動の習慣が身についている状態にある人間をいう。』
 すべて職員は指示・命令に従属するマニュアル労働者ではなく、知識を武器として働く「知識労働者」(※4)になることを求めよう。知識とは、本の中にある情報のことではない。知識とは「情報を仕事や成果に結びつける能力」である。この知識をお客様の価値に置き換えることが事業である。お客様の価値を知り、それを満たす成果を行動できる人(組織の求める成果に貢献できる人)が知識労働者である。

深化の
レベル
能力 意識 状態の説明
かけ算九九 あらゆる支援の場面
無し 無し 分からない 支援の必要性が分からない
無し 有り 6×6=36 ということは分かる 必要性に気づくものの、支援方法が分からない
有り 有り 「六六三十六」と暗記する過程 支援方法をトレーニングを積み重ねて習得する
作業内容を完全には暗記できていない
有り 無し 無意識で「六六三十六」と言える 支援方法が行動の習慣となって苦もなくできる
何も参照することなく完璧にできる

 上の表に示すように「6×6=36」とは情報である。「六六三十六」と無意識に口をついて出るようになった状態を知識という。「知識労働者」とは支援の必要性に気づいているレベルをいうのではない。それは上表のレベル2に過ぎない。支援が無意識でできるようになるレベル4に達したとき初めて「知識を得た」と言えるのであり、光明会のすべての職員はこの状態でなければならない。あらゆる支援の場面においてこの状態を目指さなくてはならないのである。この状態にあること(すなわち行動の習慣が身についていること)を「組織の成果に貢献している」というのである。「成果」とはこの貢献をいうのであるから、レベル1からレベル3の状態に留まるうちは十分な「成果に貢献できていない」ことを自覚し、そこから脱する挑戦をしよう。

(※4 知識労働者……ピーター・ドラッカーは「断絶の時代」(1969)の中でマニュアルワーカーとナレッジワーカーという用語を初めて用いた。この項は、佐藤等『実践するドラッカー[思考編]』『実践するドラッカー[行動編]』ダイヤモンド社 を参照した)

3-1 人間性を高める挑戦

 お客様にとって一人ひとりの施設職員の顔やそれぞれの「強み」や仕事にかける志や気概が分かるよう広報紙、ホームページやブログ、名刺等で情報発信する。サービスを利用するお客様が、直接名指しでサービス提供依頼ができる施設、礼儀正しく責任感のある職員が正当に評価され多くのお客様から感謝され、またその職員がお客様を心から感謝するしくみがある施設、このように最高の職員の力が見える施設経営を光明会は目指す。
 職員の力とは「自発的」「能動的」に仕事に取り組む力を意味する。しかし誰もが自分の「強み」を理解しているわけではない。このことが成果発揮の障害になっているとすれば、コア・コンピテンシーによくない影響を及ぼす。そこで「ストレングス・ファインダー(※5)」を通じて個々の職員の強みを見出し、活かすこととする。一人ひとりが異なる多様性こそが組織の強みの源泉であるからである。
 さて、人が人たるゆえんは、他のお人に与え続けることにあると定義したが、どのように行動するかは、個々の「強み」がすべて他人とは異なるように、自分が習慣化を目指す行動はすべて異なる。人間性を高める挑戦の具体的な内容はすべて自分で決めなければならない。
 したがって光明会のすべての職員の貢献への評価は行動の内容ではなく行動する姿勢に置かれる。
 職員同士が互いにその長所を認め合い、発見し続ける姿勢があってはじめて障害者の多様で幅の広い長所を見出し引き出すことができるのであるから、職員が助け合う姿こそ、光明会の社風である。

(※5 ストレングス・ファインダー……マーカス・バッキンガム ドナルド・クリフトン『さあ、才能に目覚めよう』日本経済新聞出版社 で紹介されている人それぞれの強みを34の資質から分析する方法)

3-1-1 行動の習慣と無財七施

 人間性を高める挑戦の具体的な内容はすべて自分で決めるのであるが、決めるにあたっての観点を紹介する。職員自らがサービスを受けて感動する体験を積み重ねることが大切である。ひとは自分が感動した体験でのみ、同様の感動サービスを提供したいというモチベーションを生み出すことができる。また一人が受けた感動体験を仲間と共有すること(これは東京ディズニーリゾートの優れた手法としても多く紹介されている)で、感動体験の数を増やしていこう。  また人間の無意識領域(潜在意識)にどのような情報を届け、(自分で自分に)どのような指令を発するかによって人間の行動は決まる。感動を周囲に伝えるための情熱をもち、その情熱の炎を燃やし続けるには、日々の小さな行動に取り組み続けなければならない。そのために手にする情報が自分の成長にとって必要なものであるかどうか精査する習慣を身につけよう。無意識領域に届ける情報を自分でコントロールする姿勢を持ち正しく質問をすれば必要なアクションプランを引きだすことができる。  職員は仕事中に不満を口にしないこと。不満(マイナス情報)を他人の耳に入れてはならない。同時に自分にとってのマイナス情報を他人から強制的に耳に入れられないようにしよう。仕事の不平不満(具体的には他人批判という形で現れる)を発言する仲間に対しては「何か手伝えることはありますか」と手をさしのべよう。  感動体験を求めること、自分にとって必要な情報を選ぶことで行動の習慣化に弾みがつく。

 行動の習慣化のための自己投資の資金が作り出せないと立ち止まらずに済むよう「無財七施(むざいしちせ)」を紹介する。お金がない人でもできることがあるから、人間は、生きているだけでも価値がある、生きているだけで所有している財産があるという仏教の教えである。無財七施のような「思いやり」を人に与えることは、自分の人間性を高めることになる。

1眼 施 がんせ 慈しみに満ちた優しいまなざしで接し、 目線で思いやりを伝えること。
2和顔施 わげんせ いつもなごやかで穏やかな顔つきで、優しい笑顔で人に接すること。
3愛語施 あいごせ 心からの優しく思いやりのある言葉を口にすること。
4身 施 しんせ 自分の身体を使って、他の人のためになる行動を進んで行うこと。
5心 施 しんせ 思いやりのある心を持ち、相手の喜びや、悲しみや痛みを共有すること。
「ありがとう」「すみません」など感謝の言葉を口にすること。
6牀座施 しょうざせ 自分が疲れていても、他人に場所や席を譲ること。
7房舎施 ぼうしゃせ 訪ねてくる人を家に入れてもてなし労をねぎらうこと。
自分が濡れても、相手に傘を差す思いやりのこと。

3-1-2 すべての職員の行動規範

(1)権利擁護に関する行動規範

  1. 職員は、障害福祉の専門サービスの提供にあたり常にお客様の現在から将来にわたるすべての権利を擁護する使命に由来する「緊張感」を持たなければならない。この緊張感は「仕事がある充実した人生」という言葉にある「充実」の中身の一つである。充実とは緊張感があることである。
  2. 職員は、常に職務のいたるところで虐待・ネグレクト(無視・放置)に陥る危険性があることを自覚し、言葉遣いや表情、行動など全般にわたり慎重かつ丁寧に職務に臨まなければ、障害者に対する「差別の心」にとらわれてしまう。障害者だからクレームの当事者になれるはずがない(ごまかせる、言いくるめられる)という障害者差別からの脱却は、だれでもトレーニングしなければできないことであり、職員は、常にこのトレーニングに努めなければならない。
  3. 職員は、「緊張感」を維持するために顧客応対のとき『3つの視線を意識する』ことを心がけよう。3つの視線を意識すると同じ応対ができなくなるならば、障害者差別をしているのである。このように常に自省する心が、職員にとって不可欠な資質である。
「お客様の家族の目」 「今、その声かけや応対をはじめとする支援はそのお客様のご家族の前でも全く同じにやれるだろうか」と。ご家族の前でやれないことを、親の目の届かない本人に対してやっているならばそれは本人を差別していることになる。
「支援専門職としての仲間や後輩、上司の目」 「今、その声かけや応対をはじめとする支援は、支援の専門家として誇れるものであるか。また仲間や上司、特に福祉の仕事に夢を抱いている新人職員にとって参考になり、また手本になる支援であると胸を張れるだろうか」と。
「自分の家族の目」 「今、その声かけや応対をはじめとする支援は、自分の家族の前でもできるだろうか。自分の配偶者や子どもに対してこれが自分の仕事だと誇れるだろうか」と。
  1. 職員同士互いに注意し合う仲間意識が求められる。お客様に対する大声の指図やにらみつけ、職員による一方的に決めつけた言動は明確な暴力・虐待だから、職員同士の見て見ぬふりは許されない。見て見ぬふりはお客様に対するネグレクトの一形態である。職員は、権利擁護に関する使命を職員が常に果たせるよう笑顔ミーティングにおいて「倫理規定」を唱和する。
  2. 「就職するなら明朗塾(アカデミー・明朗ワークス)の職員は、3つの目を意識しよう。

     今の私の対応と、顔つきを見せられるだろうか?
      1 お客様の家族に。 
      2 支援専門職としての仲間や後輩、上司に。
      3 私自身の家族に。
     日本一の心優しいサービス精神で、最高の笑顔を届けるのが私たちの仕事です。」
     (最後の一文を唱和するときに自分の最高の笑顔を作るよう意識し周囲の仲間と目を合わせること。
      無表情や疲れた顔を職場に持ち込むな。)

 お客様対応の原点には「優しさと気配り」と「緊張感」を持とう。自分にしてほしいことをサービスし、自分がしてほしくないと思うサービス(これはサービスとは呼べないが)は決してしないこと。そして「顧客の家族」「支援専門職としての仲間や後輩、上司」「自分の家族」に胸を張って見せられるような礼儀正しい対応をしよう。
 また優しい行動を身につけるために「天国言葉」(※6)を唱和する。

愛してます
ついてる
うれしい
楽しい
感謝してます
しあわせ
ありがとう
ゆるします

(※6 斎藤一人さんの教えである、言っているあなたも聞いている人も幸せになってしまう言葉。天国言葉を1日10回、100日間言うと、天国言葉に慣れて日常生活に素敵な奇跡が起こり始める。)

※言葉遣いを一つ一つ改めよう。平成25年度の重点は「○○してもらっていいですか」という誤った言葉遣いを「○○していただけますか」「○○していただけますでしょうか」に改めることとする。

(2)人間性成長に関する行動規範

  1. 職員は、すべての職務の中で、就職支援が進まない理由をお客様のせいにしたり、障害者を雇用しない企業のせいにしたり、他の職員のせいにしたりすることなく、自らの責任と認識し、一歩でも就職に近づいたことを実感できる行動をしなければならない。
  2. 職員は、一人ひとりが知識労働者として、サービス提供の各場面で、果たすべき役割に応じ、考慮す べき範囲(気配りをする範囲)を変えて行動しなければならない。障害福祉の制度そのもののあり方を考えるレベルから、法人としての経営理念のあり方、障害福祉サービスのあり方、チーム支援のあり方など、よりよい福祉社会の実現に向けて思考の視点レベルを変えて行動しよう。このことを通じてあれかこれかの二者択一という貧弱な選択を超越したバランスのとれた第3の道を発見することができるのである。
  3. 職員は、無から有を生み出すことへの挑戦を使命としなければならない。障害福祉サービスの現場では常によりよいサービスを創造し続けるフロンティア精神が必要である。未来に向けて、種を蒔き続ける情熱で無から有を生み出そう。何もせずに無から有を生み出せるような便利な道具はない。今この時に、種を蒔かなければどのような目標であっても達成されない。
    (自分が蒔いた種は自分で刈り取る/自分が蒔いた種しか刈り取れない)
  4. 職員は、日本一を目指し続けなければならない。まずは日本一の人を見つけ、それを徹底的に研究し、模倣し、いつかはそれを超えるために不断の工夫と努力を積み重ねよう。
  5. 対人サービスは、やり直しや取り消しがきかない真剣勝負である。と同時にARTの一面を持つ。常に一回きりのサービス提供であるからこそそこには「美しさ」が求められる。
    「今日が人生最後の日であったとしてもあなたは今の支援(今の仕事ぶり)で満足できるか」

 職員は福祉現場の専門職として、技術者としての側面と芸術家としての側面の両方を併せ持たなければならない。

「技術者として身につけるべき三魂」

  1. 喜んで人より困難な道を選ぶ志が求められる。周囲と同じことをしていては同じレベルの仕上がりしか望めない。努力の出し惜しみをしないことである。
  2. 成否を問わず善を為す気概が求められる。会津藩の什の掟にある「卑怯な振る舞いをするな」の「卑怯」とは、義(人として当然なすべきこと)を見て行動をすぐにしないことをいう。すぐにするとはその行動の成否(うまくいくかいかないか、評価されるかされないか)を計らないことである。
  3. 他者の行動を待つことなく自らの責任のもとに行動をする自発が求められる。「誰もやらないなら」「誰かがやるかどうかに関わりなく」自分がやるという意志に基づく行動の実践である。

3-1-3 すべての職員の行動基準としてのSCSEとめいろうルック

業務遂行上の優先すべき行動基準(仕事の優先順位の決め方)は「SCSE」(※7)である。

 安全性
[SAFETY]
私たちは常にお客様の施設生活やイベント時の安全性の保証を最優先する。安全を守るのはその場にいる「職員」の判断と行動である。お客様の安全を守る姿勢が職員の安全を守ることになる。安全な場所に安らぎが生まれる。
 礼儀正しさ
[COURTESY]
礼儀正しく丁寧であることは、おもてなしの基本である。各事業所を利用されるお客様の身になってサービスを提供すること。相手にとって親しみを感じるホスピタリティマインドが必要であり、それはあたかも自分の部屋に親友を初めて招くときのような心配り、気配りをすることである。温かいコミュニケーションには複数の手段(電話や手紙、訪問など)を積み上げることが大切である。
 ショー
[SHOW]
お客様の人生をショーと見立てるならば、キャストである私たちの使命はお客様に気を配り心を込めて尽くすことである。すべての就職支援サービスが「人生に仕事がある喜び」「仕事のある充実した人生」の提供の一部である。人生を賭けて、期待を込めて障害福祉サービスを利用するお客様のために、私たちの身だしなみや立ち居振る舞い、施設清掃などに毎日真剣(一期一会の心)でなければならない。日を追って専門性が向上し真剣さを増すような障害福祉サービスでありたい。
 効率
[EFFICIENCY]
支援業務の効率化が法人運営の効率化や収益性の向上につながると思い込みやすい。しかしお客様の安全を心がけ、礼儀正しく、真剣な気配りを提供していくことを優先すべきであり、結果として私たちの信念に基づくサービス(仕事道サービス)の効率を最も高まる。法人経営や職員の都合をお客様の幸せに優先させてはならない。

 笑顔を届けるのが仕事であるから、他人に好感を与える笑顔づくりと身だしなみとマナーを職員が確実に獲得できるよう取り組む。身だしなみについては『ディズニールック』(東京ディズニーリゾートですべてのキャストに求められている身だしなみのルール)にならい「めいろうルック」を規定する。

(※7 「ディズニーテーマパークには、「SCSE」という行動規準があります。Safety(安全)、Courtesy(礼儀正しさ)、Show(ショー)、Efficiency(効率)の頭文字をとったもので、全キャストにとって、ゲストに最高のおもてなしを提供するための判断や行動のよりどころとなっています。「SCSE」は、その並びがそのまま優先順位を表しています。ディズニー社のライセンシーである当社にとっても、ディズニーテーマパークの重要な行動規準である「SCSE」は、東京ディズニーランド、東京ディズニーシーを運営するにあたって最も大切にしている基準です。」株式会社オリエンタルランドのホームページより引用)

3-2 礼儀正しさと優しさ、後工程への心配り

 自分の心に原始的に発生する「人としての優しさ」が自発的・能動的サービスの原点である。しかしながらその自分の思いに自ら背いてしまうことで人は現状の自分を肯定し、他者を批判するようになる。自分の原初の思いに正直に、その思いにしたがって行動する勇気を大切にできるように光明会は職場環境を整える。
 相手をモノとしてではなく人として見る姿勢を常に持とう。モノは「便利なモノ、邪魔なモノ、無関心・無関係なモノ」の3つである。モノとして見れば、相手はモノとして見られていることを瞬時に察する。そして表面上の言葉や表情に関わらず「優しさ」を感じない。むしろ不安、不信、不満を感じる。
 だから相手をびっくりするほど喜ばせる行動をしよう。

 仕事をするときは、職場の仲間、電話を掛けてきたお客様など、自分以外の人たちができるだけ楽にできるように心掛けよう。後工程(あとこうてい)への配慮が大切である。
 「後工程はお客様」。本来の意味は、「自分たちの仕事の後工程を確認し、最終のお客様にどのような影響をおよぼしているかを配慮して後工程の満足度を高めていくこと」だが「同じ組織の中でも、自分の仕事の続きを担当する次の人はお客様と思って対応しよう」という解釈もある。自分が現在している仕事の後工程は誰かを考えないことを「後始末ができない」という。また「不始末」ともいう。
 常に自分以外の人がもっと楽になるように、と気配りをすれば「玄関では他人の靴を揃える」「どの駐車場でも一番遠くに停める」「電車やバスでは座らない」「道は譲る」などという大人としての美しい行動がとれる。仕事ならば「次にする人は自分より早く楽にできるようにする」「自分と同じ苦労はしなくてもよいようにする」「自分を踏み台にしてもっとジャンプしてもらう」という行動がとれる。
 これが自分以外の人をモノとしてではなく人として見る行動である。

3-3 美しい生き方

3-3-1 人間性の向上こそが優れた技術を生む

 弟子が師匠から学ぶのは立ち居振る舞いである。仕事では人のために真剣に時間をかけて丹念に尽くしたかのプロセスが見える結果をつくらなければならない。結果のレベルを高めるに「些事に気づくほどの徹底した気配りをする目」を養わなければならない。そのために立ち居振る舞いを正すのである。そのための修練となる「道」は日本伝統の文化の中にこそある。  人間性の高い立ち居振る舞い(5S[整理・整頓・清掃・清潔・躾]のレベル)を見せること(あるいはそこから学ぶこと)でしか周囲の人に影響を及ぼし人間性を高めることはできない。人間性の向上が優れた技術を生むのである。(1-7項)

 人間性とは、また心の鏡のことである。「人間は誰でも心の中に輝く鏡を持っている。鏡が輝いていれば、世の中の出来事や人間の心がそのまま歪まずに映る。人間が邪心や欲望などを持って鏡を曇らせれば、鏡の中に人の心や社会の状況が決して正しくは映らない。人間は自分の心の鏡を始終磨くことが大切だ。毎日生きている中でいろいろなことに遭遇したときこれを受けとめる自分の心は輝いているだろうかと振り返り、曇っていれば汚れを拭い去って、心の鏡を光らせて対応していくよう努力する。」(童門冬二「内村鑑三「代表的日本人」を読む」PHP文庫より)

3-3-2 掃除と仕事は同じ

 松下幸之助は、掃除は仕事と同じと教えた。商人として場を浄める修行を極めた中から得た真理である。一流の仕事は緊張感のない漠然とした場や生き方の中からは生まれない。周囲の誰もが「もうこれで十分だ」という中でいかに不満足を感じられるか。そして妥協せず改良し続けるか。わずかな改良点を見逃さずに真摯に取り組むことが、前項の「人のために真剣に時間をかけて丹念に尽くしたかのプロセス」である。これに気づく力は、立ち居振る舞いを磨き、一心に掃除をする中で育つ。だから師匠は弟子に仕事のやり方(マニュアル)ではなく立ち居振る舞いを見せるのである。これを弟子の方から見れば、師匠の背を見て学ぶ(子は親の背を見て育つ)と言う。
 掃除を疎かにすることは、細かなことに不満足を感じる目(わずかな改良点に気づく目)を失うことである。服装のわずかな乱れや汚れに気づかない人は、人の痛みに気づけないし、人によくしてあげたいという思いが生まれない。だから身を清め、生き方を整えるのである。

 平成23年度から社会貢献活動の第一歩として、すべての職員が朝15分間の掃除をすることとした。「施設建物に対して私たちに代わりお客様に快適を提供してくれてありがとうございます」「社会貢献をさせていただきありがとうございます」という気持ちを込めて掃除をするので「ありがとうタイム」と呼んだが、今後は読み替えを止める。行うべきものは掃除である。

3-3-3 5Sの徹底

 5Sの徹底は経営者・管理者の使命である。率先垂範する。5Sの定義は次のとおりである。

S 定  義
整理 必要な物と不要な物を分け、不要な物を捨てること
整頓 必要な物がすぐに取り出せるように置き場所、置き方を決め、表示を確実に行う
定物定置
清掃 掃除をしてゴミ、汚れのないきれいな状態にすると同時に細部まで点検すること
清潔 整理・整頓・清掃を徹底して実行し、汚れのないきれいな状態を維持すること
しつけ 決められたことを、決められたとおりに実行できるよう習慣づけること

 よい人間性への挑戦は「陰徳を積む」必要がある。陰徳とは、人に知られないようにひそかにする善行のことである。人に知られなくとも自分は知っていることだから、自分で自分の美意識を高めなくてはならない。「自分たるもの、このようなみっともないことはしない」「義を見て為ざるは勇無きなり(人として行うべき正義と知りながらそれをしないことは、勇気が無いのと同じことである 論語)」と心に唱えながら自らの誇りに賭けて行動をしよう。行動した後の爽やかな気持ちは何事にも代えがたい。

3-4 組織に貢献すべきこと~コア・コンピテンシーとの連関

3-4-1 最高の仕事ができる環境~3つの質問

 アルコア社オニール会長は、ドラッカー直伝の会社評価法を実践し、世界最大級のアルミメーカーを労災ゼロを目指す中で高い業績を上げた。その会社評価法は次の3つの質問に社員のどれだけがためらいもなしに「イエス」と答えられるかというものである。
 「あなたは敬意をもって遇されているか?」
 「あなたは貢献する上で必要な教育訓練と支援を受けているか?」
 「あなたが貢献していることを会社は知っているか?」

 お客様に対しても同様である。お客様に対して3つの質問をした結果、お客様が敬われ、教育訓練と支援を受け、貢献していることを知られているとためらいもなしに「イエス」と答えたならばよい施設・事業所と判断できる。(エリザベス・イーダスハイム『P・F・ドラッカー 理想企業を求めて』(原題:THE DEFINITIVE DRUCKER)ダイヤモンド社 pp139-141)

 

 ドラッカーは「事業を成功させるには、最高の仕事ができる環境をつくらなければならない」という。
最高の仕事ができる環境とは次の3点である。

  1. 経営者が3つの意識を持っていること、すなわち上記の3つの質問に「イエス」をもらえること
  2. すごいエネルギーのある仲間がいること
  3. 自らの使命と組織の使命が共存していること

3-4-2 キャリアパス(研究レポート)

 すべての職員に、年2回の研究レポートへの取り組みを奨励する。最高のサービスを受けた者だけに理解できる最高のサービスの境地を学ぶ(研究レポートはその一つの方法である)姿が光明会の職員の姿である。優秀な研究レポートは「明朗研究研修会」での発表や、ホームページ掲載という栄誉が与えられる。またさまざまな外部研修や内部研修を受講する機会が与えられる(キャリアパス企画推進室が所管する)。
 学びは自発的になされるべきであり、仕事もまた自発的・能動的な取り組み(行動)によって、福祉サービスの品質に影響のある職務に従事する職員に必要な力量(深化のレベル4)(本章冒頭部)が修得される。
 障害とその支援を人としての根源的な愛情を基に理解し、それによって得られた知見に基づく試行錯誤を実践する姿勢が欠如すると、不十分・不適切なお客様対応を引き起こし、その結果、障害者への権利侵害を生む。障害者支援施設職員として日常的な学びの姿勢と、仲間の職員の学びを尊敬し賞賛する姿勢が光明会の職員のあるべき姿である。
 職員のアウトプットは、インプットの量に比例するので、職員による情報発信(アウトプット)を求めるからには、情報インプットの機会を保証する。書籍購入費の補助、推奨資格の取得費用の一部補助を継続する。
 また人財募集から入社後3カ月までの間の職員を対象とする「KMGプログラム(仮称)」の開発を継続する。またすべての職員を対象として組織の成長に向けた変革をもたらす「日帰り合宿」を平成25年6月に実施する。

3-4-3 目標の可視化 自分ケアプランの活用

 私たちの目の前にいる障害者を幸せにするために職員自らが幸せにならなければならない。生活のみならず思考や発想までもが貧困な職員は、とうていお客様に幸せを届けられない。光明会の職員として何をやり抜きたいのか、何を極めたいのか、このような自問自答を通じて職員一人ひとりが自らの使命を明確に認識しなければならない。組織の使命である障害者の幸せづくりと自らの使命との共存を見極めることが大切である。
 人は周りの人を豊かにしてあげることで自分も豊かになれる。したがってもし施設職員が幸せでないとすればそれは障害者を幸せにしていないから、と理解しよう。
 自分の使命を見つけ、今年度の目標を設定したら、文字など目に見える形で常に無意識領域に届けよう。目標は紙に書くことによって達成される。毎年12月に実施する「目標設定ワーク」の実践を基にすべての職員は「自分ケアプラン」を作成し、1年間の自己キャリアアップ計画を立案しその達成に取り組むものとする。

(文責 CEO 内藤 晃 2013.4.8改訂第2版)

(文責 CEO 内藤 晃 2013.4.8改訂第2版)