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  3. 第78号
  4. 理事長挨拶

大和心で組織改革を進めよう

社会福祉法人光明会 理事長 小 澤 定 明

平成31年度経営方針を発表

 社会福祉法人光明会では平成31年3月16日に「平成31年度経営計画発表会」を開催しました。
 平成31年度の光明会は、少子高齢化、心の時代へのシフトに対応して、事業の中心を「様々な能力のある方々(Different Capabilities)」に「人生に仕事がある喜び、仕事のある充実した人生(仕事道)」を創造する「人生指南」に置きます。さらに「他から受け取ったものへの感謝を原動力として他に尽くし与える社会貢献」「廃棄をしたあとの新しい価値の創造(イノベーション)」「人間性を高める挑戦」を美しい人間としての誇りを持って実践していくために「日本固有の素直な心 困難に立ち向かう心 思いやりの心の大和心で行動する」を基本に組織改革を進めることを明確にして経営方針を策定しました。
 光明会の経営方針は、社会や制度の変遷に対応し続けてもなお、我が国の先人から受け継ぎ、それを後世に伝えるべき日本人としての本義(根本的なあり方)を守り続ける意志の表明です。
 経営方針を基に、各事業所では行動計画の立案を進めています。新年度開始早々にはこの両者を統合した経営計画書を発行します。ホームページ上でも4月下旬までには公開します。
 以下、特に前年度までと異なる点について申し上げます。

法人組織改革

 日本社会は量的成長から質的成長へのシフト、少子高齢化、SNSによるコミュニケーション革命、ECによる流通革命、AIの進展等変化が大きく、福祉業界もまた業界外からの環境変化の影響を大きく受けています。変化を予想し、変化を求め、すなわち適応の準備をし、常に変化する環境に対して柔軟な態度で受け止め、素早く動く力を発揮する職員集団を目指します。法人組織の再生に組織改革が欠かせません。
 人間の本質は「自己保存」ですから、無意識のうちに変化を拒む傾向があります。安定を求める本能に任せた現状維持だけでは環境変化に対応ができません。また緊張感のない組織は崩壊してしまいます。
(この項は、USJの経営のV字回復を導いた森岡毅氏の『マーケティングとは「組織革命」である』日経BP社 2018を参照・引用しています)

1 組織が発揮すべき4つの機能

組織が発揮すべき機能から、法人管理組織を改編することとします。機能は次に挙げる4つです。

(1)組織マネジメントシステム

 法人の理念を定義し、経営計画を立案し、組織構造の改善、意志決定システム、職員の評価・報酬、職員の育成・採用の設計を一体的に行う組織マネジメントシステムが第一の機能です。CEOは、マネジメント会議を設置し、このシステムが有効に機能することの責任を負うこととします。
一人ひとりの能力を引き上げ、同時に多様な職員の力を組み合わせてボトルネックを消して業績につなげる組織構造としなければなりません。消費者視点に立ち、組織全体の活動を連動させるには、組織内の職員が生産的に働き成果を上げ続けるために組織を最適化していく機能が発揮されなければならな いのです。

(2)価値創造マネジメントシステム

 法人の各事業所が提供する商品(サービスと財)が結果として収入に結びつくためには、消費者(お客様)の価値につながる商品を開発しなければなりません。そのために市場調査、商品開発、営業活動が一体的に行います。この価値創造マネジメントシステムが第二の機能です。CMOは、収入を獲得する行動に能力を発揮しその成果に責任を負うこととします。
光明会は今までに様々な能力のある人に向けた就職支援の本質は、障害者雇用企業に対する雇用支援にありと定義してきました。また就職支援は作業活動の延長線上に存在するものではなく、企業との結びつきや自己重要感の養成こそにポイントがあると見抜き公文式学習を構造化してきました。これらを超える新しい価値創造の成果を上げなければなりません。商品開発にあたってはサービス管理責任者が能力を発揮しなければならないのです。価値創造にあたり大切な視点は、顧客がまだ経験していない世界がもたらす価値を提供することです。

(3)価値提供マネジメントシステム

 商品(サービスと財)を継続的に生み出し続ける価値提供マネジメントシステムが第三の機能です。各事業所の事業活動を裏付ける情報の調達、管理、流通とともにスタッフの採用、育成、成長管理を行います。COOは、志推進会議を設置し、事業計画設計、事業目標管理を通じて価値提供の有効性に責任を負うこととします。
全職員が情報を共有するためのパワーアップミーティング、キャリアデザイン部の活動の有効性も保証しなければなりません。職員全員が個人目標を自ら管理し、その上で事業目標の達成に貢献するためにキャリアデザイン部があるのです。

(4)財務マネジメントシステム

 組織活動に大切な資金の流れを管理する財務マネジメントシステムが第四の機能です。CFO(法人総務部長)が社会福祉法人会計基準上の会計責任者を補佐しつつも財務管理の責任を負うこととします。

 組織マネジメントシステムを基礎に、価値創造(マーケティング)システム、価値提供(生産)マネジメントシステム、財務(ファイナンス)システムが相互に関連する機能となります。

 社会の一器官である組織が、社会における市場価値(消費者が光明会に対して持つ相対的好感度)を高め、維持し続けるためにはマーケティング思考で商品開発をしなければなりません。また継続的に生み出し続ける機能を持ち、組織活動に不可欠な財務管理を徹底しなければなりません。これらを相互に関連する機能として成果が上がるよう組織マネジメントを遂行するために組織改革を行います。

 光明会は、年齢に関係なく誰もがよい働きをすれば貢献度に応じて年収・権限が上がり続けるようにします。よい働きとは、組織の収入向上につながる行動、組織の重要な判断決定に必要な行動、組織理念の示す方向へ人々を動機づける行動です。そのために管理職を含めた全職員を対象とする評価システムと報酬システムを改革します。

2 組織マネジメント改革の方向性

 全職員がよりよく働くしくみの最適化のためには、次に示す4つの組織改革が必要となります。

(1)意志決定システム

組織全体で収入向上に向けた行動を一体的にとるためには、組織の判断決定のために必要な行動、すなわち現場で得られる情報をもとに公の場で行動提案や改善提案を検討し決定する会議が不可欠です。この場合、組織の行動は意志決定権限のある者によってなされますから、提案についてはコスト(リスク)とリターンとのバランスにおいて、組織の目的や達成確率を純粋に高くする提案であることが前提となります。会議で決定した事項は24時間以内に全員で共有され遂行責任は明らかにされなければなりません。

(2)評価システム

 人財こそが組織の最重要な資源です。人財の活躍によって成果が決まるからです。人財の成長を引き出すための評価が必要です。この評価によって仲間との競争が生まれることはしんどいものですが、このプロセスが自分にとっての一番の成長機会となるでしょう。実効のある改善提案力と他人のために力となるコミュニケーション力はぜひとも身につけたいものです。リーダーシップとは他人の成長ための力となることですし、組織目標の達成に向けたベクトルを共有した上でそれにかなった行動を進んでとることです。

(3)報酬システム

 人間の本質である「自己保存」の意識に打ち勝ち自分の行動を変えるメリットを信じられるしくみが報酬と結びつかなければなりません。年齢や経歴に関係なく誰もが組織の成果にとってよい働きをすれば報酬と年収が上がるようにします。一方で期待される行動をとらなければ年齢や経歴・職位に関係なく権限と報酬は下がるでしょう。評価に基づく待遇変更は厳格に実施されることとなります。
 報酬には、金銭以外の価値、すなわち組織の中の人の成長に不可欠な役割があるという実感が含まれますから、人財育成プログラムの設計に積極的主体的に関わることが重要な要素であることを理解しなければなりません。

(4)二法人の協力協定

 社会福祉法人開拓との協力協定等を通じて、新規サービス開発、幅広いキャリアパスの整備及び社会福祉充実計画の作成、実施を追求します。

3 評価システムの方針

 評価システムは、今後マネジメント会議で設計・具体化を進めますが、評価基準はまず能力(スキル)基準と結果(業績)基準の2軸を採用します。いずれも目に見えるものです。目に見えない「意思」は職員の言語化により推し量るものとします。
 評価項目の原案は次のとおりとし、今後マネジメント会議で検討し確定します。

  1. 言語や情報を使いこなす能力
  2. 自律的に活動できる能力
  3. 多様な集団において交流する能力

 また、評価は職員の成長と経験に着目します。客観的に見えた部分と見えなかった部分(例えばそれは職員自身によって言語化された「研究レポート」)との両面での評価を追求します。なぜならば事業目標の達成にあたっては客観的に数量で計れる目標と顧客の主観が入る品質面からの成果があり、この品質面の評価は職員自身の経験に表れ、職員自身の手によって言語化されうると仮定するからです。

 本来、福祉サービスの成果の評価をすべて客観的に行うことはできません。これが本質です。行政サービス評価や障害福祉計画の数値目標達成は、条件であって目的ではないのです。一方で、新自由主義的(小さな政府、能力主義、自己責任、市場原理)な競争の導入や成果至上主義になじむ側面があることは否定できませんが、この側面は報酬(現金や所得)と結びつくだけに、受け取るものが多いほど幸せ(効率的なほど賢い)という価値観に引きずられやすい危険性があります。
 計測できる価値の限界を知り、計測できない価値に支えられてこそ、成果が光り輝くものです。与えるものが多いほど幸せ(手間をかけるほどよい)という価値観にわれわれは立脚すべきです。

 職員評価もまた客観的に行うことができないとすれば、何に依拠すればよいのでしょうか。その解決に向けてのヒントは「大和心」にあると思います。

 白駒妃登美さんが『古事記が教えてくれる天命追求型の生き方』で語っているとおり日本固有の皇位の正統性を示す三種の神器(八咫鏡(やたのかがみ)、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま))は、和の心の象徴とみることができまず。神皇正統記に次のような記述があります。「鏡は一物も貯えず、私心を去って、万象を照らせば是非善悪の姿が現れないということはない。その姿どおりに感応することを徳とする。これは正直の本源である。玉は柔和善順を徳とし、慈悲の本源である。剣は剛利決断の徳とし、智恵の本源である。この三徳を残りなくあわせもたないと、天下が治まらないことは間違いないであろう」

 鏡は、清き明き直き心、すなわち素直な心
 剣は、決断、すなわち困難に立ち向かう心
 勾玉は、慈悲、すなわち思いやりの心

を示し、和の心の象徴です。本来日本人の心の宿っていて、それを磨き上げることが日本人の「道」であると理解することができるのです。光明会の職員評価は、福祉事業の成果達成への貢献の側面とともに、日本人としての心(大和心)での行動意志の側面もまた対象とすべきであると思います。

生活介護事業の成果

 障害者支援施設 就職するなら明朗塾では平成31年4月から生活介護事業(定員10名)を開設します。平均余命が伸び続けている今日、65歳を超えても働き続ける姿は常態になっていきます。となると障害福祉サービスか介護サービスか、の議論ではなく、誰もが80歳、90歳まで普通に働く時代に65歳からの障害福祉サービスの意義と目的の探求が求められることになります。
 障害者の高齢化に対しては、介護が必要な高齢者も障害者もケアする「共生型サービス」が示されていますが、これとは別のアプローチで、様々な能力ある方々への人生設計支援が必要です。例えば、65歳からの新規事業、新規就職、新規教育(入学)という選択肢を福祉施設・事業所は示すことが求められます。
 この観点から、生活介護事業の成果は、生活介護事業の利用顧客の人生設計とその設計した計画に基づく人間としての修身への取り組みに置きます。具体的には、身を修める、場を浄める、を徹底することで実現するものと考えます。

 吉田松陰が当時松下村塾の名で私塾を営んでいた久保五郎左衛門に書き送った『松下村塾記』にある
「学は人たる所以(ゆえん)を学ぶなり」という言葉は、学問とは、(人が)人である理由を学ぶことであるというものです。
 学ぶのは知識を得るためでもなく、職を得るためでもなく、己を磨くためであると考えるのです。お役に立つため、役目を果たすために留まらず、世の中のために自分がすべきことを知るために学はあるのです。だからこそ人間が人間である理由は、立志にあります。自分は誰を幸せにするのか、どのようにして幸せに導くのか、そのために今何をするのか。これが定まっていることが立志の具体的な中味です。そして、知行合一、自分で自分を磨く、至誠がそれとともに重要なキーワードです。

 就職を支援の主流に置いてきた光明会にあって、十分に配慮しなければならないことは「働けない」=「負け」の意識を持ってしまうことです。あるいは、ADLの低下による何らかの制限が生じたことへのカバーが生活介護であると思い込んでしまうことです。
 生活介護事業は、人生において一般労働市場における就職をもってしても果たしきれなかった人間としての成長の機会をとらえて、その実現に挑戦するところにこそ真の意義があります。人としてのあり方を追求することがすなわち生活介護事業のあり方です。あらためて「働く、仕事=人に尽くす」という視点を確実にされたい。
 人生設計と人間を磨く修行の実践は、人間としてすべての人が向き合うものですから、その意味で生活介護事業は障害者支援全般に通じるものです。
 とはいえ、加齢等によるADLの低下は現実に生じているので、職員はこの支援への専門性が求められます。職員に求められる技能は「構造化」にその主軸を置くものとします。

(経営方針の全文は平成31年4月末に法人HPにて公開します。 http://www.meiroh.com)