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シリーズ 障害者就業・生活支援センター最前線

障害者の就労と障害年金

 平成28年9月より「国民年金・厚生年金 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が策定されている。目的としては『障害基礎年金について新規に申請を受けて決定を行った事例のうち、不支給と決定された件数の割合が都道府県で異なることから、各都道府県における障害基礎年金の認定事務の実態を調査したところ、精神障害及び知的障害の認定において、地域によりその傾向に違いがあることが確認された。  この調査結果を踏まえ、認定に地域差による不公平を生じないようにするため、精神障害及び知的障害に係る障害等級の判定を行う際に用いるガイドライン(以下「ガイドライン」という。)の策定を目的として、「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」が平成27年2月に設置され、8回にわたる議論を経て、平成28年2月にガイドラインに盛り込む内容が取りまとめられたところである。  このガイドラインは、精神障害及び知的障害に係る認定において、障害等級の判定時に用いる目安や考慮すべき事項の例等を示すものであり、これにより、精神障害及び知的障害に係る認定が「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」(平成14年3月15日庁保発第12号。以下「障害認定基準」という。)に基づき適正に行われるよう改善を図ることを目的としている。』(ガイドライン「第1 趣旨・目的」より)  5年ごとに行われている障害年金受給者実態調査の平成26年度の結果を見ると、障害年金受給者全体の(国民年金・厚生年金含め)27%が就労していることからも分かるとおり、障害者の就労と障害年金は大きな関係がある。  障害者の勤続支援をしている中で、最近多く見られることとして障害者年金受給者の支給停止である。障害者雇用で働いている人達の多くは非正規労働者(パート・アルバイト等)であるため、障害年金が支給停止となれば、安定した生活が出来なくなる恐れがある。障害年金の意義に所得補償があるため、就労収入があれば支給停止となるのは、制度上は有りうるのか?しかし、障害者雇用施策と障害年金施策が深く関係している以上、就労という状態だけで支給判断するのは乱暴ではないか。  こうした状況の中で障害年金の等級判定に関するガイドラインが策定され、就労状況の共通事項として考慮すべき要素は以下のとおりとなった(以下、ガイドラインより抜粋)。

○労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力を判断する。
○援助や配慮は常態化した環境下では安定した就労ができる場合でも、その援助や配慮がない場合に予想される状態を考慮する。
○相当程度の援助を受けて就労している場合は、それを考慮する。

【具体的な内容例】

  • 就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)及び障害者雇用制度による就労については1級または2級の可能性も検討する。就労移行支援についても同様とする。
  • 障害者雇用制度を利用しない一般企業や自営・家業等で就労している場合でも、就労系福祉サービスや障害者雇用制度における支援と同程度の援助を受けて就労している場合は、2級の可能性を検討する。

○就労の影響により、就労以外の場面での日常生活能力が著しく低下していることが客観的に確認できる場合は、就労場面及び就労以外の場面の両方の状況を考慮する。
○一般企業(障害者雇用制度による就労を除く)での就労の場合は、月収の状況だけでなく、就労実態を総合的にみて判断する。

 ガイドラインでは、就労の雇用形態ではなく職場での援助や配慮の内容、日常生活能力などをしっかり検討した上で支給することとなっている。先述したとおり、障害年金の支給判断においては、就労状態だけで判断するのではなく、ガイドラインにあるとおり、就労状況の詳細を見て判断することが必要であると考える。また、公的サービスである以上、地域間格差が生じないよう公正な審査も必要となろう。
 最後に、上記のガイドラインが早期に実現することを願いながらも、法定雇用率を前提とした障害者雇用施策からの脱却も合わせて追求すべき時期であり、障害者就業・生活支援センター事業においても大きな転換期を迎えている。

(文責 主任就業支援担当 村田かおり)