1. HOME
  2. 広報紙めいろうバックナンバー
  3. 第69号
  4. 理事長挨拶

地域貢献の本義

社会福祉法人光明会  理事長 小澤定明

社会福祉法人への高まる期待

 社会福祉法人制度改革については、平成28年3月に社会福祉法改正が成立し、一部を除き平成29年4月に施行されることとなりました。社会福祉法人の公益性・非営利性を確保する観点から制度を見直し、国民に対する説明責任や地域社会への貢献という社会福祉法人ならではの責任を果たすことに大きな期待が寄せられています。

福祉に損得勘定を持ち込んではならない

 具体的には2つの柱があります。一つは社会福祉法人組織のチェック体制を含めた経営組織の強化(ガバナンスの強化)です。福祉事業に取り組んだ先人の多くは、目の前にいる社会的弱者をそのまま放っておくことなどはしませんでした。つまり「惻隠の情」のままの生き様を示しました。これが我が国の福祉の基礎となりました。しかしながら国の財源確保の事情から新自由主義的な成果至上の考え方が福祉業界にも持ち込まれ、寝食を忘れて支援・介護に取り組む姿勢よりも、財務諸表の整備など事務管理体制の方に重点が置かれるようになったのです。その結果、社会福祉法人(公益法人)の事業運営が不透明であるとの見方が強調されるようになりました。誤解を恐れずに申せば、社会福祉法人の経営は事務的に見れば「どんぶり勘定」のところがあります。それには理由があります。勘定をしっかりと整えれば、その結果、支援・介護業務の質が上がるものではないからです。福祉の先人たちはその経営センス・鋭さをしっかりと持ち合わせていました。数字の勘定を整えることで良い福祉をしているというそぶりを見せることは一切しなかったし、そこに事業の重点はあえて置かなかったのです。私はこの姿勢こそが大切なことだと思います。福祉の支援に損得勘定を持ち込んではならないのです。損得勘定に秀でた「いわゆる経営者」に福祉の仕事を任せてはなりません。
 福祉の質、すなわち人として行うべきことは則実行するという信念に裏打ちされた行動がもたらすものは、割に合わなくてもする、という日本人ならではの覚悟にあります。

福祉充実は「残額」でまかなうものではない

 二つ目の柱は、地域における公益的な取り組みを実施する責務の明確化です。再投下可能な財産額がある社会福祉法人に対して、社会福祉事業または公益事業の新規実施・拡充に係る計画の作成を義務づけています。お金があるなら無駄なく使って地域貢献してください、という言葉に納得される方は多いことでしょう。しかしながら間違いなく、福祉事業に取り組んだ先人の多くは、お金がなくても取り組んだのです。資金があるのに活用しないままにいるのは、経営的効率の観点からすれば、怠惰という指摘を受けるのは仕方がないことです。ただ社会福祉の仕事が生まれてきた歴史をよく見ると手持ち資金の有効活用など最初の志の中には含まれていません。「お金がないからできない」という覚悟の決まらない大人としてみっともない生き方は先人には見られません。
 当法人は平成28年12月から法人組織を見直し、社会貢献部を改組し、社会福祉充実推進本部を立ち上げました。これは上記の計画作成を担当するといった卑小なものではありません。平成10年10月に社会福祉法人光明会を立ち上げ、翌11年8月に障害者支援施設を開所して以来、継続して取り組んできた法人使命としての社会貢献、他から与えられたものへの感謝という理念は「何があっても見捨てない」という私自身が先人からの学びから得た生き方と共通するものです。この理念は社会福祉充実残額などというものに基づくものでは決してありません。先人からもたらされたものへの感謝、そしてそれに感謝し報恩の思いで、目の前の仕事(現業)にとことん邁進し、身も心も捧げることが「仕事道」です。この生き方を様々な能力のある方々とともに当法人の職員が一丸となって次代に引き継ぐために広く地域社会に伝道することが当法人に設置した社会福祉充実推進本部の使命です。改正法では、社会福祉法人が創意工夫をこらした多様な「地域における公益的な取り組み」を推進することで、地域における少子高齢化・人口減少などを踏まえた福祉ニーズに対応するサービスを充実させるとしています。
 この当法人の根幹をなす業務に障害者支援施設「就職するなら明朗塾」施設長の小澤孝延を専任担当として充てました。国民に対する説明責任は行動によって示す、という意志をここに宣言させていただきます。